
中学生にもある「五月病」とそのサイン。
新学期から1ヶ月が経ち、環境にも少しずつ慣れてきた頃。しかしゴールデンウィーク明けに、「朝起きられない」「学校が面倒」「イライラする」といった様子が見られたら、もしかすると“五月病”のサインかもしれません。
五月病とは、新しい環境や人間関係のストレスが引き金となって、心や体に不調があらわれる状態のこと。実は中学生の心も、この時期に大きく揺れ動いているのです。
「やる気が出ない」は怠けではない
中学生になると、「自分はどう見られているか」「勉強についていけるか」など、これまでとは違った種類のストレスにさらされます。
学力差や友人関係、部活動のプレッシャー、将来への漠然とした不安。そうした中で、無気力になったり、登校を渋ったりすることも珍しくありません。
一見すると「やる気がない」「怠けている」ように見える行動の裏には、「頑張りたいけどうまくいかない」「自分なんて…」という自己否定の気持ちが隠れていることも。
本人も自分の不調に戸惑っていることが多く、言葉にしづらいのが中学生の特徴です。
正論より、心に届く関わりを
五月病への対応として大切なのは、「なんでやる気がないの?」「ちゃんとしなさい」と正論をぶつけるのではなく、まずは本人の心に寄り添うことです。
思春期の子どもは、表面上は反発的に見えても、内心では「わかってほしい」「認めてほしい」と強く願っているもの。
親の側が「こうすればいいのに」と思っても、まずは「最近どう?」「疲れてない?」と、押しつけない問いかけをしてみてください。たとえ返事がそっけなくても、その声かけは“話しても大丈夫”というサインとして、確実に心に届いています。
また、子どもが少しでも気持ちを話してくれたときには、「話してくれて嬉しいよ」「言ってくれてありがとう」と、気持ちを開いたこと自体を認めてあげることが大切です。それが安心感につながり、また話そうという気持ちを育てていきます。
正論や解決策を急ぐより、「今のあなたを受け止めているよ」という姿勢を伝えること。それが、思春期の子どもにとって何よりの支えになります。
リズムの回復と“逃げ場”の確保を
五月病の回復には、生活リズムの立て直しが基本です。
遅寝・遅起きが続いていたら、まずは朝の光を浴びることから。朝食を一緒にとるなど、家庭内でのルーティンを整えることが、回復の足がかりになります。
加えて、中学生には**「学校以外の居場所」や「逃げ場」**が必要です。
家庭でリラックスできる時間、趣味に没頭できる時間、否定されずに自分を出せる空間。そうした余白が心のバランスを支えてくれます。学校だけにすべてを背負わせないことが、長い目で見て最も大切なサポートになります。
「戻る」のではなく「育っている途中」
五月病は、変化に直面しているからこそ起きる自然な揺れです。大切なのは、「早く元に戻さなければ」と焦らず、「今は成長の途中なのだ」と見守る姿勢です。
お子様が悩みや不安を感じたとき、そばに安心して話せる人がいる。それだけでも、次に踏み出す勇気につながります。
中学生という繊細な時期に、家庭が“戻れる場所”であり続けることが、子どもの心を守る最大の力になります。