
新学期が始まり、やっと学校生活に慣れてきた…と思った矢先のゴールデンウィーク。連休明け、「学校に行きたくない」「だるい」「お腹が痛い」といった訴えが出てきたら、それは“五月病”のサインかもしれません。
そもそも五月病とは、環境の変化やストレスが原因で心や体に不調があらわれる状態のこと。一般的には新入社員や大学生に多いとされていますが、近年では小学生にも見られるようになっています。
特に新1年生や転校生など、新しい環境に飛び込んだばかりのお子様は注意が必要です。
大人と子どもで違うあらわれ方
大人の五月病は「やる気が出ない」「出勤がつらい」といった“燃え尽き”に近い状態が多いのに対し、小学生では「お腹が痛い」「頭が痛い」など身体的な不調や、「学校が怖い」「なんとなく不安」といった感情面の揺らぎが目立ちます。
子どもは、まだ気持ちを言葉でうまく表現できないこともあるため、こうしたサインを見逃さないことが大切です。体調不良が続いたり、元気がない日が続いたりする場合は、心の疲れのサインかもしれません。
聞くことが、支えることに
五月病の対策として、まず大切なのは**「話を聞くこと」**です。学校で何があったのか、どんな気持ちだったのかを、否定せずにただ受け止めてあげる時間をつくりましょう。
ここで意識したいのが「解決より共感」です。親としては何かアドバイスをしたくなったり、「そんなの大丈夫だよ」と励ましたくなったりするものですが、それよりも「そうだったんだね」「それはつらかったね」と気持ちに寄り添うほうが、子どもにはずっと安心感につながります。
特に小学生は、まだ自分の気持ちをうまく整理できないことも多く、聞いてもらうことで少しずつ言葉にできたり、自分の気持ちに気づけたりします。
「受け入れてくれた」という経験そのものが、心の回復を後押ししてくれるのです。
生活リズムと小さな楽しみ
また、生活リズムの見直しも大切です。連休中に乱れた睡眠や食事の時間を整えることで、心と体の安定につながります。
早寝早起きや朝ごはんを家族で囲むといった習慣も、子どもにとっての安心材料になります。
さらに、学校だけが生活の中心にならないように、家庭での楽しみをつくることも効果的です。
週末のおでかけ、小さなご褒美、家での遊びなど、「学校以外にも楽しいことがある」と感じられるだけで、子どもは前向きな気持ちを取り戻しやすくなります。
五月病は、成長のひとつの過程
五月病は一時的な心の揺らぎであり、決して「弱さ」ではありません。大人でも疲れる季節の変化や環境の変化を、小さな体と心で受け止めている証拠です。
無理に前向きにさせようとしたり、叱咤激励したりするよりも、「あなたはそのままで大丈夫」と伝えるような関わり方が、子どもの自己肯定感を支える大きな力になります。
焦らず、寄り添いながら、子どもがまた一歩前に進む力を信じて見守っていきましょう。