家庭で増える“言葉のすれ違い”を防ぐ方法

進路の話を家庭でしようとすると、「どう言えばいいのか分からない」「つい正論を言ってしまう」と感じる保護者様は多いものです。
子どもにとって“進路”はまだ形のないテーマ。
話し方ひとつで「自分のことを考えてみよう」と思えることもあれば、「また怒られた」と心を閉ざしてしまうこともあります。
今回は、行動科学の視点から“子どもが前向きに考えられる進路の話し方”を、実際の言葉の例とともにご紹介します。

子どもに「どこの高校に行きたい?」「何になりたい?」と聞くと、たいていは「分からない」と返ってきます。
それは、答えを持っていないからではなく、まだ“考えるきっかけ”が足りないだけ。
行動科学では、行動を引き出すには“先行条件(きっかけ)”を整えることが大切だといわれます。
進路の話も同じで、「どんな勉強が楽しい?」「最近興味をもったことある?」など、思考の入口を広くする問いかけが効果的です。
“答えを求める質問”ではなく、“考える余地のある質問”を投げかけると、子どもは少しずつ「自分の考え」を言葉にできるようになります。

良かれと思ってかけた「頑張らないとね」という言葉が、子どもにはプレッシャーに聞こえることもあります。
行動科学では、行動を強化するのは“評価”より“承認”。つまり「できた結果」ではなく、「行動した事実」を認めることが次の行動を促します。
たとえば――
NGワード:「だから言ったでしょ」「もっと早く決めなきゃ」
OKワード:「考えてみたんだね」「自分で調べてみたんだ、いいね」
このような言葉がけは、子どもの“自己効力感(自分はできるという感覚)”を育て、次の行動につながります。
話す前に「この言葉は相手を動かす言葉か、それとも止める言葉か?」と考えてみると良いでしょう。

子どもが進路について迷っているとき、保護者様の「どうして決められないの?」という焦りは自然なものです。
ただし、焦りを伝えるより、「一緒に考えよう」という姿勢が、何よりの支えになります。
行動科学では、人は“安心感のある環境”で行動が活性化するとされています。
「まだ分からなくても大丈夫」「一緒に見てみよう」という声かけは、子どもにとって“挑戦できる安全基地”になります。
家庭の会話は、未来を決める場ではなく、“未来を描き始める場”。
小さな会話の積み重ねが、子どもが自分の力で進路を選び取る力を育てていきます。
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